大規模修繕工事
マンションなどの大規模修繕工事を行う場合、その中には、さまざまな工事があります。以下、それを順番に説明します。
・工事着工
・共通仮設工事・・・工事を進める上で各種工事に共通して使用される仮設物を設置する工事で、現場事務所・作業員 詰所・資材置場・トイレ・シンク・水道設備・電気設備などを言います。仮設物を設置するにあたり、設置場所の打ち合わせを行い、場合によっては、駐車車輌の移動などが必要となるケースがあるので、工事開始前に個別に連絡を取ることがポイントになります。
・足場架設工事・・・外壁などの普段は手が届かない箇所を作業する為に、足場を設する工事で、現在では 鋼製（鉄製）の枠組み足場を設置するのが一般的です。 足場の設置が完了すると、落下防止と材料飛散防止の為に、その外側をメッシュシートで覆います。足場架設工事期間中は、足場を「壁つなぎ」というもので固定しますが、その際外壁に穴をあけるため非常に大きな音が出ると同時に、足場材のぶつかる金属音も発生するので、確実に周辺住人にお知らせすることがポイントとなります。また、期間中は資材を積んだトラックが敷地内へ入るので、特に安全通路の確保にも細心の注意を払う必要があります。
※足場架設が完了すると「シーリング」「下地補修」の各工事が同時に始まります。
・シーリング工事・・・外壁目地・サッシ廻り・建具廻り等、各部位から水の侵入・空気の通過を防止するために行う工事です。充てんされたシ-リング材が、水密性・気密性を確保して漏水を防ぐことを目的としています。シーリング材（ゴム状のもの）は、完全に硬化するまで約２４時間の時間を必要とする為、施工箇所への接触を避けなければなりません。そのために、事前に施工箇所をできる限り詳細に周辺住人にお知らせするとともに、触れてしまう可能性がある場合は、張り紙などで注意を促すなどの方法を取る場合があります。
・下地補修工事・・・建物本体のひび割れ・鉄筋爆裂・欠損部・浮きなどを補修する工事で、建物を保護するといった面から非常に重要な工事です。下地補修に行う塗装工事と防水工事への仕上りにも影響するため、施工管理に重点をおく必要があります。建物本体を斫ったり削る穴をあけたり叩いたりするため、音やほこりが出ます。特にバルコニー内の作業については、洗濯物干しへの影響が出ますので、工事用掲示板などを活用し周辺住人へのご協力をお願いする必要があります。
・鉄部塗装工事・・・建物内の鉄でできているものに対し、その耐久性向上のために行う工事で、ケレン（錆落し）～ 錆止め（下塗り）～中塗り～上塗り（仕上げり）という４工程を経て仕上がりとなります。特に重要なのは、ケレン（錆止め）で、耐久性に一番影響が出る作業です。外壁塗装に入る前に中塗りまで進めておくのが一般的な進め方です。塗装工事は、見た目にも現状からの変化がわかりやすいので、塗装箇所への接触はあまり起きませんが、特に小さな子供などへは、親からの指導をするように案内をするべきです。また、鉄部塗装において使用する塗料は溶剤系のものが多いので、換気を促すご案内も行う必要があります。
・外壁高圧洗浄工事・・・外壁を高圧水により洗浄する工事で、汚れを落とし塗装材や防水材の密着を良くする目的で行います。外壁の状態によっては、現状の塗膜を落とす為に圧力を上げたり温水を使用したりする場合もあります。外壁全体を洗浄するので、バルコニーの使用はできなくなりますが、作業日数としては長くても２日程度です。高圧水を当てるため、サッシ廻りから室内へ浸水する場合もあるので、事前に「サッシの下に雑巾や不用になった布を当てて下さい」といったお知らせを配布したほうが良いでしょう。
・内外壁塗装工事・・・建物外壁や廊下・階段内壁に塗料を塗り重ねる事により、建物本体（躯体）を保護すると同時に 美観を復元させる目的で行う工事です。最近では、耐候性・耐汚染性を重視した材料が多く、種類も豊富であることから、塗装仕様を慎重に選択する事が重要です。バルコニー側の塗装工事期間中は、サッシ窓などを完全に養生（汚れないようビニールで覆う）するため、バルコニーへの出入ができなくなるので、月曜に開始し土曜には開放できるような工程を組むべきです。材料は主に水性塗料を使用しますが、臭いが出るので反対側（廊下側）は換気のできる状態にすることも重要です。
・バルコニー床防水工事・・・主な目的としては、降雨水などの侵入防止、給排水等の漏水防止で、生活環境を守るという面でも非常に重要な工事です。最も一般的な工法は、ウレタン塗膜防水密着工法です。バルコニーへの出入はできなくなりますが、サッシ窓の開閉は可能です。ただし臭気は発生します。やはり月曜に開始し土曜には開放できるような工程を組むようにするべきです。
・その他各種防水工事
・足場解体、共通仮設撤去
・工事完成
以上のような順に行われます。
