屋上緑化
屋上緑化とは、建築物の断熱性や景観の向上などを目的として、屋根や屋上に植物を植え緑化することです。同様に、建物の外壁を緑化することを壁面緑化と言います。
主に環境保護の観点から、日本では90年代から取り組まれるようになり、東京都の条例など地方自治体が積極的な推進を図ったことで需要が拡大し、普及しました。2000年代に全国の屋上・壁面の緑化面積が約10倍になるなど、大企業や公官庁の建物を中心に広がりつつありますが、雑居ビルや集合住宅などでは初期コストや維持管理面の問題が大きく、普及は遅れをとっています。壁面緑化は、大通りに面した建物や高速道路の防音壁としての利用が多くなっています。
屋上緑化を行う主な目的には、
・ヒートアイランド現象への対策
・断熱性の向上・躯体の保護
・建物の耐久性の向上
・防音性の向上
・保水力の増加
・大気汚染物質の吸収
・吸着・景観の向上
・畑としての利用
・生態系の回復
などがあります。
技術上の注意点は、
・塩化ビニルシートやアスファルトなどでの防水が不可欠
・植物の根の躯体への食い込みを防止するため、防根層の設置が必要
・植物への灌漑と排水・通気性の確保が必要
・土壌や防水層による重量増を軽減するための軽量化の努力が必要
・植物を庭園として維持するための吸水・剪定の維持が必要
などがあります。
培土には、高分子ポリマー製の保水シート、緑化コンクリート、泥炭、軽石(シラス)、ロックウール、再生繊維マット、ウレタンマット、ヤシガラマットなどが使われます。
栽培する植物としては、メキシコマンネングサ、芝、花類・灌木植物、マットプランツ、花壇苗マットなどが一般的です。
現在技術開発が進んでおり、選択の幅は広がってきていると言えますが、行政の推進はあるもののコストはまだまだ高く、建築基準法の荷重制限があり実際に設置するには大幅な改装が必要になる場合が多いです。