常温工法
常温工法とは、防水工事でアルファルトなどを使用する場合、溶融釜を利用して材料を溶かすのではなく、常温で材料を付着させる工法のことです。
在来熱工法のように溶融釜を必要としないため、煤煙や臭気発生の問題が少なく、環境にやさしい防水工法です。
熱に頼らないため「冷工法」とも呼ばれます。
トーチ工法、複合工法、自着工法の3種類があります。
・トーチ工法は、トーチバーナーの直火でルーフィング材をあぶりながら溶融し、防水層を形成する工法で、日本では1980年代初頭にヨーロッパから輸入されました。その後、1980年代後半には国内での生産が始まり、1991年にはJIS規定が制定されました。本格的な普及には時間を要しましたが、改修工事市場の増加に伴い施工例が増加しました。
均一性、信頼性が高く、熱によるジョイント部の溶着により完全に一体化するので、高い水密性を持つ工法です。
・複合工法は、高濃度のゴムアスファルトエマルションを専用の硬化剤により反応硬化させた塗膜防水材を、改質アスファルト系シートと組み合わて施工する工法です。水系で火を使わず、煙も出ず、CO2の発生が低減でき、また有害な有機溶剤も使用していないため、作業中の火災・中毒の心配がないという特徴があります。
2000年代から使われ始めました。
・自着工法は、自着層を設けたルーフィングシートを使用した工法です。特殊アスファルトで含浸したポリエステル長繊維不織布と、特殊ゴム化アスファルト粘着層を組み合わせた、2層構造の防水シートを、下地に転圧し張り付けます。耐熱性が高く、耐水性及び寸法安定性に優れ、下地への追従性も高いです。無公害で工期も短くて済みます。
上記の3つの工法が、現場環境に応じて選ばれて施工されています。