一般住宅の防水工事の価格と相場
ビルやマンションでは屋上などで防水工事をするのは皆さんご存知ですよね。
では、一般住宅ではどうでしょう。
実は、ベランダやバルコニーは防水工事が必要なのです。
ベランダやバルコニーの床部分が雨水などで劣化している場合があるため、水溜りなどが起きてしまう前に早めの対策が必要になります。
高くても、安すぎてもダメなのが防水工事。防水工事の相場感を知ることはとても大切なことです。
ここでは、防水工事の価格や相場、また、一般住宅ではどのような状況になったら防水工事が必要なのかについてご紹介していきます。
1.防水工事の価格
まずは、防水工事の価格を表にまとめたのでご覧ください。
価格は、防水素材のメーカーや現在の防水の状態、面積などによって変わります。
防水種別 | 価格(1平米あたり) | 100平米の価格 | 施工箇所面積 | 施工場所 |
---|---|---|---|---|
ウレタン防水 | 7500円〜 | 75万円〜 | 50〜200平米 | 全て |
シート防水 | 8000円〜 | 80万円〜 | 50〜200平米 | 屋上・廊下 |
FRP防水 | 9000円〜 | 90万円〜 | 10平米くらい | ベランダ |
アスファルト防水 | 8000円〜 | 80万円〜 | 200平米以上 | 屋上 |
2.防水工法について
防水工事の工法にはいくつか種類があり、それぞれ耐用年数やコスト面でのメリット・デメリットがあります。
また、防水工事を施工する箇所などによって最適な工法があります。
ここでは、ウレタン防水、シート防水、FRP防水、アスファルト防水についてご紹介します。
防水工事(工法)の種類と耐用年数
まずは、工法ごとに費用と耐用年数をまとめたのでご覧ください。
工法の種類 | 費用 | 耐用年数 | 防水工事・工法の特徴 |
---|---|---|---|
ウレタン防水 | 一般的 | 10〜12年 | 改修工事が簡単、廃材が出ないので工期・費用を抑えることができる。 |
シート防水 | 安価 | 10〜12年 | 厚みが薄いので損傷しやすいが、工期・コストを抑えることができる。 |
FRP防水 | 一般的 | 8〜10年 | 施工中の臭気はあるが、軽量強靭で耐水・耐候・耐食性に優れている。 |
アスファルト防水 | 高価 | 15〜20年 | 防水層が厚く、施工のばらつきも少なく耐用年数が長いので安心。 |
ウレタン防水は低予算
ウレタン防水工事は、他の防水工事の工法と比較して低予算で施工できるというメリットがあります。
しかし一方では、施工後の塗膜の均一性が低いというデメリットもあります。
耐久性を高めるためには、定期的にトップの塗り替えをするなどの定期メンテナンスの必要がありますが、低コストで施工したいという方には人気の工法です。
また、ウレタン防水工事にも「密着工法」と呼ばれるウレタン防水材を直接施工する方法と「絶縁工法」というウレタン防水材と床面の間に通気マットを設置する施工方法があります。
ベランダなどの小さな面積の場合には、ウレタン密着工法での施工が多くなります。
シート防水は工期が短い
シート防水工事は、屋上などの下地に防水シートを接着剤などで貼り付けることで防水性を高める工事方法です。
安価なゴムシート防水や、施工性・耐久性の高い塩ビシート防水などの種類があります。施工性が他の防水工事よりも比較的良いので、工期を短くしたいなどに最適です。
FRP防水は防水工事に適した方法
FRP防水は、ガラス繊維で補強されているので軽量且つ強靭で耐久性・対候性などが優れています。
木材などのように腐食することもないので防水工事に適した施工方法と言えます。
ただ、プラスチックの素材なので、劣化した場合などに伸縮性がないためひび割れを起こしやすいというデメリットもあります。
アスファルト防水は耐用年数が長い
アスファルト防水工事は、屋根などの下地にも使われているルーフィングと呼ばれる防水シートで屋上などに防水層を作り、その上をコンクリートで抑えてしっかり防水する工法です。
アスファルトならではの強度があるので、耐用年数も10年〜20年程度と長いという事もメリットでしょう。
ただし、重量があるので木造の住宅やアパートなどには向かないという側面もあります。
3.一般住宅のベランダやバルコニーに適した防水工法
ベランダやバルコニーの床は、ビルなどの屋上と同様に紫外線や雨の影響を受けるため定期的に補修や防水工事を行う必要があります。
では、ベランダやバルコニーはどの防水工法が良いのでしょう。
ベランダの防水工法は基本的に3種類
ベランダ・バルコニーの床面は、下地の上に「防水層」を作り、その表面に「トップコート」を塗ることで構成されています。
ベランダの防水層の種類としては、FRPの被覆防水層を形成する「FRP防水」、液体ウレタンの塗膜で防水層を作る「ウレタン防水」が主流です。
また合成ゴムや塩化ビニール樹脂で作られた「防水シート」を貼る工法もあります。
「アスファルト防水」は屋上向けの工法なので、ベランダやバルコニーに使われることはほとんどありません。
床のグレーの塗料はトップコート
ベランダやバルコニーの床の表面には、主にグレー色の塗料が塗られているのを見かけることが多いと思います。
このグレーの塗装が「トップコート」と言われるものです。
実はグレー以外にも、ベージュ・白・黒・ライトブルー・グリーンなどのカラーバリエーションもたくさんあります。
トップコートには、防水層を紫外線から守る役割があり、主に「ポリエステル系」と「ウレタン系」の2種類があります。
トップコートが剥がれているだけか、防水層から直す必要があるかによってベランダやバルコニーのリフォーム内容が変わり、それぞれ適切なメンテナンス周期が異なります。
防水層の耐用年数は10〜15年前後
防水層は、10年前後で老朽化してきます。
素材によって、耐用年数は最長12〜20年程度と幅はありますが、太陽の光などによって日々劣化していくため、ひび割れなどが発生する前に10年に一度を目安にリフォームしておきましょう。
トップコートは5年に一度を目安に塗り替えを
一方、トップコートは5年程度の頻度で塗装が必要です。
保護塗料であるトップコートが劣化していると、防水層が熱や紫外線の影響で退化しやすくなります。
美観の復旧や遮熱対策にも繋がるので、トップコートの塗り替えはこまめに実施しましょう。
ベランダの防水はこんな症状が出たら補修工事を
築年数に関係なく、ベランダやバルコニーの床で以下のような異常を発見したら補修工事が必要になります。
表面の色褪せ
床の表面が荒れている時・色褪せが見られる時はトップコートの機能が低下してきています。なるべく早めに塗り替え工事をしましょう。
塗膜や防水層のひび割れ・剥がれ・ふくれ
ひび割れや、剥がれた箇所・ふくれた箇所を見つけた際には、表面のトップコートの塗膜だけか、防水層から劣化してしまっているのかを業者に確認してもらいましょう。
めくれた部分や浮き上がった部分がある場合には、トップコートや防水層だけではなく下地の工事も必要になる可能性が高いです。
ベランダ・バルコニーに水がたまる
ベランダに水がたまるのは、排水口(ドレン)にゴミがたまっている、または防水効果が切れてしまっている、雨水を自然に流すための勾配がそもそもなかった...といった原因が考えられます。
まずは排水口の掃除を行い水が流れるか確認しましょう。解決しない場合は、業者に現状を確認してもらいましょう。
状況に合わせて、排水口のひどい汚れや劣化がある場合は清掃をする、防水効果が切れている場合は防水層をリフォームする、勾配がない場合にはモルタルで勾配を作るといった対応が必要です。
植物や藻の繁殖
ベランダ・バルコニーの床を割って植物が芽を出している場合や、藻が発生している場合も要注意です。
特に雑草の根や茎は非常に強く頑丈です。成長していく過程で、コンクリートを破壊してしまう恐れがあります。
放置してしまうと、防水層だけでなく住宅自体を損壊させる危険性もあるため、早急にベランダのリフォームを行って除去しましょう。
雨漏り
ベランダの床の防水性が失われると、水が建物内部へ浸入し建物を支えている大事な柱や梁、骨組みなどが錆びたり腐食させたりしてしまう危険性があります。
まとめ
以上、防水工事の工法や一般住宅に適した工法、ベランダでこんな症状が出たら補修工事が必要といったことをご紹介してきました。
ベランダやバルコニーがある一般住宅では防水工事が必要になります。
特に雨漏りは、ベランダ劣化の中で最も緊急性の高い状態です。
雨漏りしている場合は、早急に業者に依頼し雨漏りしている箇所をチェックしてもらいましょう。