防水工事に足場は必要?
防水工事に限らず、建物の工事で「足場」を組むケースがしばしばあります。作業員の安全確保のため、足場の存在は極めて重要です。
ただし、足場を組むためには、それ専門の業者に依頼する場合もあり、工事費用の総額が高くなってしまうことは否定できません。
また、建物の間が非常に狭く、そもそも足場を組めない工事現場もあったりします。
本記事では、防水工事に足場が必要か否か、皆様の判断材料となる情報をご提供いたします。
仮設足場工事
防水工事だけの話ではありませんが、修繕工事の際に、建物の周囲に「足場」を組んで施工する場合があります。
これは「仮設足場工事」と呼ばれます。なお、足場は、塗装工事や防水工事を行う業者自身が組むのではなく、足場の専門業者が組むケースがあります。
マンションの大規模修繕工事の場合、通常は足場を組んで施工します。
例えば、マンションの外壁を塗装する際、高い位置まで手が届くように、そして、外壁全体を塗れるように考慮して足場が組まれます。
また、安全確保の観点から、揺れないようにしっかりと組む必要があります。
建設業において、労働災害の死亡事故の原因で最も多いのは「転落」となっています。
そして、「転落」の中でも、「足場からの転落」が非常に多くなっており、しっかりと足場を組むことは、作業員の安全を確保するために極めて重要な要素となっています。
足場を用いる場合、組む時と撤去する時に費用が発生します。
また、工期が長くなったり、マンションの大規模修繕工事の場合、足場だけで費用が数百万円上乗せとなるケースもあり、依頼者の立場から考えると大変悩ましい問題です。
無足場工法
建物の間が狭すぎるなど足場を組むことが不可能な場合、上述した「仮設足場工事」を採用せず、足場を組まずに工事を行う「無足場工法」が採用されるケースがあります。
「無足場工法」は、建物の屋上からロープを垂らして、それにフックをかけて作業員がぶら下がったり、ゴンドラやブランコを吊り下げて、その上に作業員が乗って、塗装などの作業をする方法です。
無足場工法では、足場を組む必要が無いため、人が入れる程度の隙間があれば、作業が可能です。
また、足場を組んだり、撤去する必要が無いため、工期が短くなり、多額の費用もかかりません。
欧米では無足場工法はダムや橋などの大型土木工事でも採用されており、長い歴史が存在します。
しかし、日本では近年になって取り入れられた工法であり、まだ技術面や装備面(強靭なロープ、安全性の高いゴンドラやブランコ等の有無)で対応していない業者が多く、あまり普及していません。
高所作業車
足場を組まない工法としては、ロープで吊り下がる無足場工法の他に、消防のハシゴ車に似た「高所作業車(スカイマスター)」を用いて作業を行う工法もあります。
公共工事では、しばしば利用される方法です。
これは、高所作業車が入り込める広い空間が必要なため、どの建物でも可能というわけではありません。
また、高所作業車を保有している業者も少ないという問題があります。
工期や費用面から考えた有利・不利
依頼者側の立場としては、工期や費用面を考慮すれば、「仮設足場工事」はなるべく避けたいところです。
しかし、「無足場工法」や「高所作業車」を用いた工事が可能な業者は現在の日本では少ないという問題があります。
ただし、地元に、無足場工法が可能だったり、高所作業車を保有している業者が存在するなら、その業者に依頼することで費用を安くすることが可能になります。
まずは、見積もりをしてもらう前に、足場を組まないで工事が可能か地元の複数の業者に問い合わせてみると良いでしょう。
防水工事と足場の必要性
足場を用いた工法と足場を用いない工法について述べてきましたが、防水工事の全てについて、足場が必要になるわけではありません。
足場が必要になるのは、主にマンションの建物の外壁を工事する場合であり、屋上や建物内部など足場が不要な防水工事も多数存在します(ただし、屋上の形状や階段の有無によっては必要なケースもあります。)。
また、一戸建ての住宅で、ハシゴで対応できる場合は、建物外壁の防水工事で足場を用いずに工事が可能なケースもあります(一戸建てでも、階数や高さ、周囲の状況、屋根の形状、屋根に上れる階段が無いなど、条件によっては足場が必要となる場合があります。)。
実際に足場が必要となるかどうかは、業者に現場を見てもらって判断してもらいましょう。
まとめ
建物の外壁を工事する際、作業員の安全を確保するために足場の存在は重要です。
ただし、防水工事では、建物の外壁以外の建物内部や屋上といった部位については、足場が不要なケースが多数存在します。
現在の日本では、建物の外壁の工事の場合、足場を用いる「仮設足場工事」が多く、「無足場工法」や「高所作業車」を用いた工事は対応している業者は少ない状況です。
ただし、少数ではあるものの、足場を用いない工事方法に対応した業者も存在するため、見積もりの前に、対応しているかどうか地元の複数の業者に問い合わせてみると良いでしょう。