屋上防水を業者にお願いするのと、自分で施工するのでは何が違うの?
防水工事と一言で表しても、ベランダやバルコニー・外壁や屋上・屋根防水など、建築物のあらゆる場所に適用されるため、幅広い施工内容となっています。
その中でも屋上防水工事について、気になっている方もいるのではないでしょうか。
マンションやアパートなどの屋上をはじめ、一戸建て住宅でも屋根ではなく屋上にしている場合も屋上防水が必要になります。
屋上防水が必要なケースとしては、雨水が入り込み雨漏りが発生している場合などでして、防水層や修繕工事を行います。
しかし、人によってはホームセンターで道具を購入し、自分で屋上防水できないか考えることがあるのではないでしょうか。
屋上防水工事を業者に頼もうかと考えていたけれども、見積もり内容を見て費用の高さから、自分で施工しようかと考えるケースもあります。
そこで屋上防水を業者にお願いする場合と、自分で施工するのでは何が違い、どんなメリット・デメリットがあるのか、ご説明します。
屋上防水工事が必要な事例と工法
屋上防水工事を業者に頼もうか、自分で施工しようか悩んでいる方の中には、そもそも屋上防水が必要な事例や工法について分かっていないこともあります。
また、ある程度知っている方でも、業者の必要性について把握できていないことも考えられ、プロが行う工法を知る必要があります。
施工方法を決める前に屋上防水の意味と劣化事例、どのような施工が必要なのか知っておくことで間違った判断をせずに済みます。
ここでは屋上防水工事の意味から工法、屋上でどのような劣化が起きるのか、ご説明します。
屋上防水とは屋上に防水層を構築する工事
マンションやアパート、一戸建て住宅は雨から守ってくれる機能も含まれています。しかし、どんなに高品質で耐久性の高い住宅でも、経年劣化が起こり様々な被害に繋がります。
また、経年劣化でなくとも災害による被害や、工事不良などから劣化が起こる可能性があります。
特に屋上は、雨水や日光を受けやすい場所のため、傷みやすい箇所でもあります。
屋上防水とは住宅で起こる劣化の中でも、屋上で発生する劣化や雨水の侵入などを防ぐために、防水層を構築して防水措置を施します。
屋上防水は防水工事の1つで、防水工事業者が専門的に取り扱っています。
屋上で起こる劣化や損傷
屋上防水を業者にお願いするか、自分で施工するか悩んでいる方の中には、屋上で起こる劣化について知らないケースもあります。
屋上で起こる劣化や不具合を以下にご紹介します。
- 屋上の傾斜が適正な角度と向きで施工されていない
- ドレンの詰まりや破損
- 床のひび割れ
- 塗装面のはがれ
- 塗装面のふくらみ
- 防水層のはがれやひび割れ
- 防水層の境目から雑草が生えている
- モルタルが損傷している
- コンクリートのひび割れ
- 雨どいの詰まりや破損
他にも屋上で起こる劣化はありまして、単純に床がひび割れるという話ではありません。
屋上防水工事と一言で表しても、実際の工事内容は屋上の劣化状況や材質によって異なります。
一戸建てとマンション、アパートでは状況が異なる
マンションやアパート、一戸建てでは住宅事情が異なりますから、防水工事に関する考え方や定期点検の重要性も変わります。
一戸建ての場合は、住んでいる方とそのご家族で屋上防水や施工時期について考えますから、自分で比較的計画・実行しやすい環境といえます。
対してマンションやアパートの場合は、大家さんが屋上防水工事を行う責任があり、放置してしまいますと各入居者の天井や壁などに被害が及びます。ですから、劣化が起きてから対策に乗り出すのでは遅いですし、退去リスクに繋がります。
屋上防水について軽く考えている場合は、劣化が引き起こす被害と施工後の状況について理解しておくことが大切です。
屋上防水工事で用いる工法
防水工事には、主に以下の工法で適宜使い分けて、防水層を構築しています。
- シート防水
- アスファルト防水
- FRP防水
- ウレタン防水
シート防水は、ゴムシートや塩ビシートなどを下地に接着し、防水層を構築する工法です。
どちらの材質でも工法自体は共通しており、シートを貼り付けるという手軽さがメリットといえます。
アスファルト防水は、合成繊維不織布にアスファルトを染み込ませてコーティングしたのち、下地となるルーフィングを上から貼ります。
更に、その上にシート状もしくは溶けた状態のアスファルトを重ねていきます。
また、アスファルト防水は、熱工法と冷工法、トーチ工法などが存在します。
ウレタン防水は、塗装のように塗りながら防水層を構築していく工法です。
具体的には、ポリイソシアネートでできた主剤と、ポリオールでできた硬化剤を混ぜ合わせて防水層となる部分に塗装します。
FRP防水は、不飽和ポリエステル樹脂と呼ばれる素材と硬化剤を混ぜたものを、FRP(繊維強化プラスチック)という補強材と組み合わせて塗装のように塗る防水工法です。
耐久性に優れているため、車など重量物が乗せられても防水層は破損しません。
屋上防水を業者にお願いするのと自分で施工する違いとは?
屋上防水を検討している方の中には、そもそも業者にお願いすることと自分で施工することについて、何が違うのか分からない状態にあります。
場合によっては、自分で施工することも可能ですが、いつでも自分で施工すれば良い訳ではありません。
その点を理解するためにも、ここでは防水工事業者の特徴と合わせて、違いについてご説明します。
技術面で一般人と業者では大きな違いある
屋上防水を業者にお願いする場合と、自分で施工する場合の大きな違いは、技術面にあります。
当たり前ですが防水工事業者は、屋上防水も含む防水工事のプロです。対して、自分で施工するということは、業務経験や資格取得をしていない限り素人です。
屋上防水の劣化現象や被害について、前述の項目で解説しましたが劣化は1つでありません。
ですから、各現象に合わせて修繕や防水工事の工法を、適宜選択する必要があります。
また、元々の防水層や下地の材質によって、全て撤去して貼り直すか下地を残した状態で新たに防水層を形成するか変わります。
このような技術的難易度の高い問題を、素人が正確に対処していくことは難しいといえるでしょう。
自分では施工できない工法がある
屋上防水といいましても、床を全面張り替える必要がある大規模工事や、小規模なひび割れなど工事内容は異なります。
例えば、マンションの屋上防水を検討しているとします。アスファルト防水を選択した場合、材料や工具などを屋上まで運ぶだけでも難しいです。
また、1人では行えない工事もありますから、そもそも自分で施工できない屋上防水もあることを理解しましょう。
自分で施工しようとしても費用面で準備できないことが多い
防水工事を防水工事業者にお願いする場合の費用は、以下の相場で定められていることが多いです。
防水工事種類 | 1㎡辺りの費用 |
---|---|
シート防水 | 3000円〜5500円 |
シート防水 | 3000円〜5500円 |
ウレタン防水 | 4500円〜6500円 |
FRP防水 | 6000円〜8000円 |
アスファルト防水 | 6000円〜8000円 |
それぞれ1㎡辺りの費用でして、シート防水とウレタン防水、FRP防水は耐久年数10年〜13年前後です。
アスファルト防水は、費用が高い代わりに耐久年数が20年前後と特に長い特徴があります。
自分で施工する場合は、シート防水もしくは塗膜防水のウレタン防水のうち、どちらかを選ぶことになるでしょう。
また、費用のみに注目しますと、業者にお願いするよりも安く済むことが多いためコスト面ではメリットがあるといえます。
しかし屋上防水の場合は床面積が広いため、防水シートを貼る際に下地が乾かないうちに1人で素早く貼ることが難しいです。
一般人と業者では屋上防水の経験年数やノウハウが違う
当たり前での話ですが、屋上防水を含む防水工事のノウハウや経験年数に大きな違いがあります。
従って業者の場合は思わぬ問題が生じても、これまでの経験から乗り切ってもらえることが多いため、防水工事を無事完了できるでしょう。
しかし、DIYとして自分で施工する場合は、経験年数だけでなく専門的な技術も不足していますから、最初のうちは失敗を繰り返す可能性があります。
失敗ありきで考える場合や、屋上の一部を防水工事する場合は自分で施工する選択肢もありでしょう。
自分で施工できる屋上防水も存在する
一般的に屋上防水といいますと、防水工事会社が行う方が信頼性も高く再施工のリスクを抑えられます。
しかし、それでも費用面が気になり、自分で施工したいと考える方もいるでしょう。
屋上防水は、必ずしも防水工事会社にお願いするしか方法がない訳ではありません。
そこで、ここでは自分で施工できる方法をご紹介します。
防水シートを貼る防水工事
自分で施工できる屋上防水の1つが、防水シートを貼ることで防水層を形成する方法です。
防水シートとは、文字通りシートを置くようの床に貼りまして、下地やコンクリートに雨水が浸透しないようにします。
まずは、塩ビシートとゴムシートのどちらを選ぶか決めましょう。
塩ビシートとは、塩化ビニールシートのことで、以下の特徴を持っています。
- 人が上に乗ったり歩いたりしても問題ない
- 耐久性が高く穴やはがれといった現象が起きにくいが、10年前後で張り替える必要がある
- シートが重なり合う境目の加工が難しく、DIYの場合は失敗する可能性があり注意が必要。雨漏りなどの原因にもなりうる。
- 塗膜防水ではないため、複雑な形状をしている部分には不向き
続いてゴムシートですが、文字通りゴムでできたシートでして塩化ビニールシートとは、大きく異なる特徴を持っています。
- 薄いため人が頻繁に歩く場所には不向き
- 温度に強い
- 複雑な形状には不向き
塩化ビニールシートは、日当たりの良い場所でも向いていますし、ゴムシートは屋上の角部など部分的な屋上防水に用いるといいでしょう。
屋上防水には塗膜防水が個人でできる
防水工事の中で、塗膜防水は個人で施工するのは難しいイメージもあるでしょう。
しかし、実際はトップコート程度なら個人でも可能ですから、検討してみるのがおすすめです。
下地も新たに施工したい場合は、ウレタンプライマーで下地を塗り、その上からウレタン防水材を2回塗ります。
そしてウレタントップコートを塗る方法もおすすめです。
ただし屋上といった広い面積を行うとなりますと、塗りムラなど施工不良リスクも大きくなるでしょう。
業者が必要な屋上防水工事があることを理解しておく
屋上の一部にひび割れが発生したり、防水層が一部はがれていたりといった、小規模な劣化や破損であれば自分で施工するのもありでしょう。
しかし雨漏りが発生していて、屋上防水だけでなく内部の劣化も発生していた場合は、個人で施工できる範囲を超えていますから、防水工事業者にお願いしましょう。
まずは防水工事業者に見積もりや調査してもらうのがおすすめ
屋上防水を自分で施工することはできます。しかし、施工内容や工法に限界がありますし、初めて屋上防水を行う場合は施工不良を起こすリスクがあります。
一方で防水工事業者の場合は、FRP防水やアスファルト防水など様々な工法を選べますし、実績や技術があります。
また防水工事業者を選ぶ場合は、1社ずつ比較するのではなく当サイトのように一括見積もりによる比較をしながら、優良業者を探すのがおすすめです。
相見積もりができますから、費用・実績共に比較検討できます。