防水工事の下地処理の目的とは
屋根から雨漏りしてきたりベランダなどにカビが生えたりといったトラブルは、張替えや修繕工事は防水工事業者が担っています。
そして防水工事業者が防水工事を行う際は、下地処理をしっかり行った上で防水処理など施すのが基本です。しかし、一般の方から見ると、下地処理工事の理由や重要性、目的などが分からないと感じているのではないでしょうか。
また、防水工事の下地処理は、防水工事全体の中でどのような目的・理由で必要とされているのか、説明されなければ理解するのは難しいところです。
今回は防水工事の予定があるものの、下地処理の目的について気になっている方へ向けて、理由や目的、種類までお伝えします。
防水工事の優良業者を探す際に下地処理の基本を理解していると、間違った説明を行っている業者を見極める上で役立ちますよ。
防水工事の下地処理とは
まずは下地処理の概要について解説していきます。塗装をしたことがある方は、下地処理の意味についてある程度イメージできますが、一般的には良く分からない作業と考えることでしょう。
防水処理は、単に防水シートを敷くだけでなく、下地処理を含めて防水性能を高めたり維持したりしています。
下地処理とは
防水工事は主に以下のような流れで、防水処理を施していきます。
- 防水面の洗浄
- 下地処理
- 塗布
- 中塗り
- トップコート
(ウレタン防水の流れ)
そして、今回のテーマでもある下地処理は、前半に行っている作業です。下地処理とは防水処理を行う場合に防水面と密着させるための、接着などの役割があります。
床や外壁などなどの下地面は、何も加工を施さないと劣化しやすい状態の場合もあり、防水処理後数年で雨漏りしやすいです。
そのため下地面の洗浄や処理を行うことは、防水機能を維持するために必要な処理といえるのです。
防水工事後に下地処理面は確認できない
下地処理が分かりにくい理由の1つは、防水工事後に隠れてしまう部分だからです。下地面へ施した下地処理剤の状態や、洗浄の丁寧さなどは防水面を全てはがさなければ見えません。
そのため一般の方は、下地処理の目的どころか作業工程も分からない側面があります。しかし、下地処理の品質が良いということは、防水機能の寿命も長いといえるでしょう。
つまり、高品質な下地処理を施してくれる防水工事業者を探すためには、工事後から経年劣化を引き起こすまでの年数が長いところを見つけるのがポイントの1つです。
防水工事の下地処理の流れや目的
続いては防水工事の重要性や、目的について詳しく解説していきます。下地処理は防水機能を長持ちさせる上で必要ですが、具体的にどのような作業を下地処理と呼ぶのか分かりにところです。
目的と共に、防水工事の中でどこまでを下地処理と呼ぶのか、理解しておくことも大切ですよ。
防水工事の目的は防水処理を正しく機能させるための基本処理
冒頭でも触れましたが防水工事の目的は、防水機能を高めるための防水以外の処理に関することを指します。
たとえば住宅の外壁などは、表面が平らではありません。材料によっても異なりますが、細かな凹凸、材料同士の隙間といった特徴があります。
こうした状態で直接防水シートや塗膜を施すと、下地とうまく接着しなかったり隙間に入り込んだりと、最適な防水処理を施すことができません。また、防水処理に不備が生じるだけでなく、放置していると劣化が起こりやすくなり雨水の侵入、そしてカビや雨漏りの被害に繋がります。
防水工事後は下地面や下地処理を確認できませんし、一般の方にとってあまり意識しない工程と言えるでしょう。しかし、下地処理の仕上がりによって、その後の防水機能に大きな差が発生するのです。
下地処理は1種類ではない
後半で詳しくご紹介しますが、下地処理といっても作業内容は1種類ではありませんし、下地処理剤や工法には様々な種類があります。
ですので、屋根や屋上、ベランダや外壁など各防水箇所によって下地処理の内容も変わります。優良な防水工事業者は、状況に合わせて適切な下地処理を施すことができるケースも含まれます。
下地処理がずさんな場合に起こる事象
下地処理がずさんだと、具体的にどのような不具合などが起こるのか、いくつか例をご紹介していきます。下地処理の状態が悪いと、後々生活に影響を与えるので把握しておきましょう。
シート防水工法で使用する防水シートの剥がれなど
たとえば防水シートを張る、シート防水工法で下地処理がずさんだと、工事後にシートがはがれるなどのトラブルに繋がります。
他にも防水処理剤を塗るタイプの工法でも、下地処理が十分に行われていないと台風や雨などで、工事後数ヶ月や数年で塗膜が剥がれるなど防水機能が極端に低下しやすいです。
雨漏りの発生
防水層の剥がれの次に発生するのが、雨漏りです。雨から屋根や外壁を守る防水層がなくなると、防水機能は0に等しいでしょう。
そうすると下地同市の隙間やひび割れ箇所などから、雨水が侵入し内壁を伝って室内に染み出てきます。
防水工事を何度か依頼しても、数か月で雨漏りが発生する時は下地処理が原因の場合もあるので、防水工事業者に作業内容を確認してみるのも大切です。また、場合によっては別の業者に、現地調査を依頼することもおすすめします。
カビの発生
雨漏りが発生してしばらくすると、雨漏り発生箇所などからカビも発生します。カビは人体にも影響を与えるので、早期に対処しなければいけない状態です。
しかし、下地処理がずさんな状態のまま、防水層を再工事しても短期間で雨漏りが再発するでしょう。この時点では少々遅い判断ですが、下地面の調査や下地処理を含めた、防水工事を発注するのが大切です。
内壁や構造部の腐食
カビを放置するケースは少ないですが、もし放置していると内壁や構造部などの腐食にも繋がります。雨水は構造部などを伝って、室内まで染み出てくるケースも珍しくありません。そして、構造部にダメージが蓄積し、腐食まで発生してしまいます。
防水工事の下地処理の種類
防水工事の下地処理の重要性を理解できたら、下地処理材・工法の種類についてもいくつか覚えておきましょう。
下地処理の基本は洗浄
防水工事の下地処理は、まず施工箇所の洗浄や掃除から始めます。汚れが付着した状態では、下地処理を施しても隙間が空き接着できません。
また、洗浄といっても一般的なホースで水を流しながら、掃除を行うではなく高圧洗浄を用います。苔や汚れなどは簡単に落ちないので、高圧洗浄で素早く確実に工事面を洗浄するのが基本です。
もし手作業や一般的なホースを使用した方法を用いていたら、汚れが残っている可能性があるので別の業者に依頼し直したり、説明を求めたりしてみることをおすすめします。
既存の防水層の撤去作業
既に防水層が構築されている箇所の場合は、まず防水層を全て撤去しなければ下地処理や補修工事ができません。
防水層撤去は、手でシートをはがしたりケレンを行ったりします。ケレンとは下地処理に欠かせない作業の1つで、研磨機などを用いて防水層が残っている面を研磨します。
下地処理材を使用した加工
洗浄や撤去作業が完了したら、下地処理材を使用して防水機能を高めるためのベースを作ります。
下地処理材や工法は非常に多く、今回はいくつかの方法についてご紹介します。
タイルやブロックに対する下地処理
屋上の床はタイルやブロックを使用していることが多く、それらに対して適切な下地処理材や工法があります。
たとえばアスファルトパネルを貼り付けて、下地を新たに作る工法です。4㎜程の厚さでアスファルトも含まれたパネルを使用するのが特徴。
アスファルトパネル専用の接着剤をタイルやブロック面に塗布してから、アスファルトパネルを貼り付けていきます。
主にアスファルト防水やウレタン塗膜防水、シート防水層を施す際に適している下地処理です。強度がありパネルを貼り付けるだけの、簡単な作業という点が大きなメリットでしょう。
コンクリートに対する下地処理
防水面はタイルだけでなく、コンクリート面の場合もあるでしょう。こうした場合は、リグレーと呼ばれる下地処理を施すことがあります。
リグレーとはセメントモルタル(ポリマーセメントモルタル)を、下地面に塗布する下地処理です。セメントモルタルは、コンクリート面との相性が良く接着しやすいのが特徴。
まず下地面を洗浄します。その後、4倍に希釈したポリマーセメントモルタルを、こてでムラなく塗布するのが基本的な流れです。
防水工事の下地処理は防水層を正しく機能させるために重要な処理
防水工事で目立つ部分は防水層ですが、防水機能を長持ち・正しく機能させるために下地処理が存在します。
下地処理は下地面と防水層を接着や、下地面の補強などの役割があります。下地処理の目的を理解できたら、下地処理を含めて専門的な知識や技能を持った防水工事業者に依頼しましょう。
そして優良な防水工事業者を探す場合は、当社の防水工事セレクトナビのご利用をおすすめします。防水工事セレクトナビでは厳しい審査に通過した業者のみが登録しており、無料で一括見積もりを代行いたします。
まずは無料一括見積もりの申し込みをしてみてはいかがでしょうか。