FRP防水工事の特長とは
屋根や外壁から雨漏りし始め、防水工事業者に依頼を検討していると様々な工法について気になる方もいるのではないでしょうか。
防水工事業者が防水工事を施す時は、状況や施工箇所に合わせてシート防水やアスファルト防水など、様々な工法を選びながら防水処理します。
そして防水工事業者の中には、FRPと呼ばれる工事を行ってくれるケースもあります。一般的にFRP工法という言葉を見たい聞いたりする機会はなく、どのような特徴や施工方法か分からないかと思います。
依頼者側は専門的な技術まで理解する必要性はありませんが、FRP工法のメリットや基本的な特徴は理解しておいても無駄ではありません。
そこで今回は防水工事について最近調べている方へ向けて、防水工法の1つFRP防水工事の特徴や特長について分かりやすくご紹介していきます。
FRP防水工事は、防水性能において優れた部分が多数あるのが特徴です。施主にとってもメリットの多い工法ですので、防水工事業者を選ぶ際の参考にもしてみてください。
FRP防水と防水工事とは
まずはFRP防水工事の基本的な概要と、防水工事の種類や基本についておさらいしていきます。防水工事には様々な工法があり、非常に高度な技術と知識が必要な仕事です。
また、優良な防水工事業者は、各工法の特性を熟知した上で職人による迅速で正確な工事を進めていくので業者ごとに品質に違いが表れることもあります。
防水工事の種類
防水工事業者は、主に一戸建て住宅やマンション・アパートなどの外壁や屋根、ベランダやバルコニーなど、外周部分の防水処理加工全般を担ってます。また、止水工事と呼ばれる漏水の補修工事もカバーしているケースもありますが、全てではありません。
ちなみに漏水とは住宅内部で発生している水漏れ被害のことです。
そして防水工事は複数の工法があり、それぞれ防水工事の方法や使用している材料など全く異なります。
FRP防水工事も防水工方法の1つですが、まずは以下の種類を把握しておきましょう。
- アスファルト防水
- 塩ビシート防水
- ゴムシート防水
- ウレタン防水
- FRP防水
- 浸透性塗布防水工法
各防水工事の概要
防水工事の中で歴史の古い工法は、アスファルト防水工事です。古くから用いられてきた防水工事で、熱でアスファルトを溶かしながら均一に下地の上へ防水加工を施します。作業効率や安定性という点で優れている反面、アスファルトの臭いが問題で近隣住民や自宅にも影響があります。
また、塩ビシート防水とごーむシート防水は、シートの材料は違うものの工法そのものは同じカテゴリです。簡単に説明すると、下地の上に接着剤をつけシート貼り付けていく手間の掛からない工法。
ウレタン防水は、ウレタン樹脂(液状)を下地に塗布・硬化することで、防水機能を発揮する工法です。液体の材料が大きな強みで、凸凹のある床や角部も問題なく塗布できます。
そして浸透性塗布防水工法とは、けい酸塩系を含む塗料をコンクリート系の下地に直接塗布します。水酸化カルシウムと反応して、コンクリート内部にまで浸透しながら防水機能を発揮するのが特徴です。
他にも多数の防水工事があり、住宅の構造や下地の素材などを考慮して選定します。
FRP防水工事とは
様々な防水工事がある中で、FRP防水工事と呼ばれる工法も存在します。日常生活で見聞きする機会のない言葉ですが、防水工事業者の多くが取り扱っている工法です。
FRP防水工事とは「Fiberglass Reinforced Plastics」の略称で、繊維強化プラスチックを用いた、液体の状態で塗布する工法です。
また、繊維強化プラスチックは、耐荷重性や耐水性に優れた素材で防水工事にも適した材料です。
防水工事に活用される時は、ベランダや屋上など住宅だけでなく、駐車場や船舶・航空機などにも使用されています。更に太陽光発電所の架台や自動車部品など、建物に限らずあらゆる現場で活用されるほど、優れた防水性能や耐久性を持っています。
FRP防水工事の流れ
FRP防水工事は、液体の不飽和ポリエステル樹脂と呼ばれる樹脂と、ガラスを含ませた繊維強化プラスチックを組み合わせた塗膜防水です。
一般的な工事の流れを以下にご紹介します。
- 下地の洗浄
- 下地にプライマー(接着剤の役割)を塗布
- ポリエステル樹脂の塗布とガラスマットの貼り付け
- 脱泡ローラーを用いてガラスマット内にある気泡を丁寧に脱泡
- 再度ポリエステル樹脂の塗布とガラスマットの貼り付け
- 脱泡
- 研磨機を用いてガラスマット表面を研磨
- アセトンを吹き付けて、ポリエステル樹脂の硬化を早める
- トップコートの塗布を行い完了
実際は各作業間に細かな準備や作業も含まれますが、流れを把握するために簡略しています。また、防水工事業者によっては、ポリエステル樹脂の塗布とガラスコートの貼り付け作業を、1度にしているケースもあります。
FRP防水工事の特徴
続いてはFRP防水工事の主な特徴についてご紹介していきます。
1970年代から使用されている
FRP防水工事は一見すると、新しい防水工事に感じるかと思います。確かに防水工事業界に普及したのは、1988年に防水工事協会が設立された後です。
しかし技術自体は1970年代に確立しています。古くからFRPを用いた防水加工はあり、最初はレジャー用ボートの防水処理などに使用されていました。
樹脂の硬化速度が早い
FRP防水と他の塗膜防水との違いは、硬化速度が早い点です。FRP防水工事の場合は、全工程が完了してから、1・2時間程で塗膜が形成され始めるため遅くとも1日で硬化します。
そのため工期を数日や1週間など、一定期間確保する必要はありません。防水工事に何日も掛かると、一時的に別の場所で住まなくてはいけなかったり工事中の状態で日常生活を過ごさなくてはいけなかったりと、ストレスも掛かります。
こうした施主側が被る負荷を抑えられるのも、FRP防水工事の大きな特徴です。
FRP防水工事のメリット
ここからはFRP防水工事のメリットを、いくつかご紹介していきます。FRP防水工事は、防水性能以外にも優れた機能があるので、重宝されています。
予算に余裕がある方は、防水工事業者にFRP防水工事について相談してみてはいかがでしょうか。
耐久性の高い材料
メリット1つ目は、軽量で尚且つ耐久性の高い点でしょう。防水工事に採用されているので、耐久性も必要なことは当たり前ですが、ガルバリウム鋼板の屋根と比較して1㎡辺り1㎏前後も軽量です。
また、軽量な素材というメリットがあるので、防水箇所を選ばないのも魅力的です。
鉄骨や鉄筋コンクリート構造の建物と相性が良い
メリット2つ目は、鉄骨造りや鉄筋コンクリート構造の建物に対して、相性が良いところです。
FRP防水工事は防水箇所の変形(熱などによる伸縮)が少ない程、密着しやすいので防水機能を発揮できます。そのため鉄筋コンクリート構造の住宅やマンションなどで、比較的用いられています。
耐水性に優れている
メリット3つ目は、耐水性に優れていることです。防水工事に採用されているので当たり前ですが、プールなど常に水と触れる場所での実績も豊富ですので優れた防水機能を期待できます。
耐荷重に優れている
メリット4つ目は、優れた耐荷重性です。重歩行(自動車や極めて重量のある機器)にも耐えられる強度ですので、駐車場の床に用いられています。
ですので、人やちょっとした物程度では、破損することはめったにありません。(劣化状況による)
FRP防水工事のデメリット
続いてFRP防水工事のデメリットをご紹介していきます。
他の防水工事よりも費用相場が高い
デメリット1つ目は、特殊なプラスチックを使用するため、基本的にどこの防水工事業者でも費用設定が高い点でしょう。
1㎡辺り6,000円〜8,000円といった費用相場で、アスファルト防水よりかは安いものの他の工法と比較して1000円〜2000円程度高い傾向です。
柔軟性が少ない
デメリット2つ目は、FRPに柔軟性が少ないところです。耐久性や耐荷重性が高い反面、伸縮性はほとんどありません。
そのため、地震や熱などによって下地が変形した場合、防水層が割れやすいのもネック。
紫外線に弱い
デメリット3つ目は紫外線に対して弱い点です。FRPは紫外線に対して耐久性が低く、劣化しやすい性質を持っています。
しかし防水工事に用いる時は、トップコートを塗布するので紫外線保護に対応。ですので、耐用年数は10年前後あります。
FRP防水工事は優れた耐荷重性と防水性能が魅力
FRP防水工事の概要や工事の流れ、そしてメリットやデメリットについてご紹介しました。他の防水工事と比較して、防水箇所の形状に左右されない塗布しやすさや防水性能の高さが魅力です。
また、耐荷重性については他の防水工事と比較にならない程強く、自動車など重歩行の現場にも対応しています。
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