大規模修繕工事の価格の相場を教えて下さい。【防水工事セレクトナビ】

例として、７階建て４０戸の築１１年目のマンションをサンプルとして挙げてみます。

一般的には、４０戸のマンションなら、大規模修繕工事の費用は３０００万円前後、２８００～３２００万円くらいだといわれています。つまり戸あたり７０～８０万円になるわけです。もちろん大規模修繕工事は、マンションの形状や仕上げの形態、施工のグレードによって変わるので、戸あたり１００万円になる場合もあり得ます。
このマンションでは、管理会社から大規模修繕工事の見積もり費用を出してもらったところ、４６００万円という額が提示されました。なぜ高いかを検討してみたところ、管理会社が販売会社の傘下だったため、割高に吹っかけてきた、という事実がありました。これを大規模修繕に慣れている設計事務所を立てて、建物診断と修繕見積もりの仕様を作成してもらい、同じ条件で複数の業者に見積もりを出してもらったところ、数百万円から１千万円ほどの価格ダウンになったそうです。

大規模修繕工事には屋上防水工事も含まれますが、もし雨漏りが起こっていないのであれば、屋上防水工事はしなくてもよいものです。屋上防水は１０年で保証が切れるので、業者は１０年保証が出せる工事をさせたがりますが、雨漏りがないなら不要な工事です。これが無いだけで、１０００万円くらいの金額差が出ます。もちろん「今雨漏りがないから大丈夫」とはいえず、躯体に水道（みずみち）ができればある日突然雨漏りが発生する可能性はあります。また屋上防水は外壁との兼ね合いや取り合いがあるので、同時に一体施工した方が総合的な外壁保護となります。よって通常は同時に施工します。ですので金額が安いというだけで屋上防水工事をしないというのは、得策ではありません。もし屋上防水に異常がなければ、防水層はそのままにしてトップコートの塗り直しだけにし、クラックや浮きの補修とシール類の打ち替え、手すりなどの補修を行なって、２８００万円くらいになる、との提案もあったそうです。その際、足場代だけで８００万円を占めていたそうです。
修繕積立金に余裕があるのなら防水工事をしてもよいですが、例えばアスファルト防水の場合、せっかく安定している防水をやり直すと不安定になることがある、と述べる業者もいます。屋上防水は「儲かる」工事なので、雨漏りがなくても工事を勧める業者は大変多いそうです。また１０年保証が一般的ですが、保証のための費用が上乗せされるので、確実な防水施工を施してもらえるのなら１０年保証は必要ない、という意見もあります。

防水工事一つをとっても様々な工法があり、またマンションの外壁の形状や、価格の地域差、工事の際の仮設の仕様、業者の技術料や人件費、塗装工事の塗替え仕様にもいろいろあるなど、一概に「どこでも共通した価格の相場」を設定することは難しいです。ただ、あくまでも「平均的な概算金額はいくらか」ということなら、専有部分の床面積が７０平方メートル前後の一般的なファミリータイプマンションで、戸数ｘ１００万円程度のようです。あくまでも一つの目安に過ぎませんが、参考にして下さい。