手抜き工事の見極め方を教えて下さい【防水工事セレクトナビ】

防水工事の業者には、優良な業者もあれば、いい加減な業者もあります。悪質な業者は手抜き工事をすることもよくあることです。一般的に防水工事の見積もり金額は、業者によって大きく異なるといわれていますが、これには手抜き工事をする悪質な業社が存在することも原因として挙げられます。

防水工事は、実はいろいろとごまかせる業種で、工法によっては素人目にわからないごまかしがある場合があります。例えばアスファルト防水はその代表的なものといわれ、施工した後にアスファルトを上から被せて蓋をしてしまうため、適当な工事をしてもわからないといわれています。他にも、塗料を塗りつける工法の場合に、その塗料の量を調節して、本来は塗料の厚さは基準で決まっているにもかかわらず、薄く塗りつけたり不均等に塗りつけたりして、適当に仕上げられることもあるようです。ウレタン防水やFRP防水など、塗りつける防水工法で行われるようです。素人目には一見しても、塗膜が基準通りなのか薄いのかなどわからないでしょうから、それをいいことに、本来５缶使わないといけないのを４缶でやってしまうとか、そういうことがあるようです。

ではどうやって手抜き工事を見極めればよいか、ですが、一般の人でもわかる方法がいくつかあります。

まず一つは、下地処理の際にケレン作業をちゃんと行なっているか、ということ。ケレン作業とは最初に下地を清掃して油分やホコリやサビなどを除去することをいいます。屋上や外壁であれば高圧洗浄をして、金属部や木部であればヤスリなどで表面を削る作業になります。これをしないと、防水層がしっかり定着しませんので、決して省くことが出来ない基本中の基本の作業になります。もしこれを行なっていないのであれば、明らかに手抜き工事だとわかります。

次に、作業前に周囲にちゃんと養生を施しているか、ということです。養生とは、防水塗料などが周囲に飛び散ってかからないように、塗る箇所以外をビニールなどで覆うことをいいます。もちろん足場を組む場合には、足場全体を養生シートで覆って、屋根や外壁以外に塗料が飛び散らないようにします。これをしないと綺麗な塗装は出来ませんから、養生をちゃんとしていないなら、手抜き工事だということができます。

また、建築物のコンクリートやモルタル面には、ヒビ割れが発生している場合があります。その場合には割れている箇所にカッター工具で目地を施し、シリコンなどでシーリング処理を施して修繕してやる必要があります。この作業なしに塗料を塗っても、ひび割れからすぐに剥がれてきてしまいます。よってこの作業ができていないのであれば、手抜き工事だといえます。

それに、防水工事を施工する業社が最初に見積もり書と工程表を提出するはずですが、塗料を塗りつける防水工法の場合、そこに記載されている「回数」通りにちゃんと塗装されているかどうか、を見なければなりません。一般的に下塗り・中塗り・上塗りの三回塗装をすると記載されているはずですが、中にはこの通りに施工せず、回数を減らして下塗りと上塗りだけで済ませてしまう、ということがあり得ます。塗りつける工法の防水層は、出来上がった後から見ても、それが工程表通りなのかはわかりません。しかし、工事中に依頼主が作業をずっと監視しているわけにもいきません。これを解決するためには、工事の進捗状況を定期的に報告させる、というルールを作っておくことです。逐次「どの段階までやったか」ということがわかるような写真と説明つきの報告書を提出してもらえば、工事の工程の進み具合が確認できるので、手抜き工事を防ぐことが出来るでしょう。良心的な業社であれば、これは既に普通に行われていることです。

以上のようなことに留意すれば、一般の人でも手抜き工事をある程度まで見極めることが出来ます。もちろん最良の方法は、信頼できる施工業者を慎重に選ぶことです。