カチオン系モルタル
カチオンは+(プラス)電荷を持った「陽イオン」という意味で、アニオンは-(マイナス)電荷を持った「陰イオン」という意味です。
防水塗装をする際に、下地となるコンクリートやモルタルは、負(-)の電気(アニオン)を帯びています。つまり、塗料自体に正(+)の電気(カチオン)の特性を持たせる事で、磁石がプラス(+)とマイナス(-)で引き合うように、カチオン性の塗料と、コンクリートやモルタルは、プラスとマイナスで引き合い、より強い密着性が得られることになります。
普通のモルタルは付着力が弱く、ヒビも入りやすいですが、陽イオンと陰イオンが電子的に引っ張り合う、異性化の力を利用して、接着力を増したものが、カチオン系(カチオン性)モルタルです。
セメント、骨材、添加剤などを配合した粉体と、特殊樹脂の混和液のセットで、これらを練り込むことにより、カチオン系モルタルとなります。
ローラーまたはコテを使って塗布しますが、可使時間が1~2時間程度と短いので、その間に塗布する(使い切る)必要があります。SBR樹脂やアクリル樹脂の成分のものがあり、また速硬型、早強型、一材型、また厚付用やセメント系のものもあります。
通常のポリマーセメントモルタルと比べて、接着性、耐摩耗性、曲げ強度、防水・防錆性に優れ、中性化防止の作用もあります。塗厚も薄くて済み、ヒビも入りにくいです。また乾燥も早く、作業性にも優れます。
一旦防水工事をする下地に塗って、その上からモルタルを塗る際の付着力を高めるための、中間接着剤タイプのカチオン性剤もあります。それを利用すると、水比の小さいモルタル配合が可能になります。またモルタルを薄く塗れ、下地調整も容易になります。
カチオンはモルタルの他にも、コンクリート、タイル、ALC、セメント板、サイディング、鋼板など、多くの下地材に使われています。