セメント系防水層
セメント系防水層とは、防水セメントを、刷毛や吹付機などで広げて膜を作る防水工法です。
基成分にセメント類を用いている、モルタル防水、ケイ酸質系塗布防水、およびポリマーセメント系塗膜防水の3種類をいいます。
・モルタル防水・・・透水・吸水に対する対抗性能を高めるための防水剤を混入したセメントモルタルを、床、壁、天井などに施工して、漏水を防止する工法です。
・ケイ酸質系塗布防水・・・コンクリート内部の空隙部分に浸透し、水和結晶の生成にともなって、空隙の多いコンクリートを緻密なコンクリートに変化させるケイ酸質系の塗布防水材を、床、壁、天井などに施工して、漏水を防止する工法です。
・ポリマーセメント系塗膜防水工法・・・ポリマーエマルションをセメントの水和反応により凝固乾燥させ、ポリマーの物性により、可とう性が得られるポリマーセメント系の塗膜防水材を、床、壁、天井などに施工して、漏水を防止する工法です。
施工範囲が凸凹など複雑な形状の部位にも適応できる、というメリットがあります。またシームレスにつなぎ目がなく、美観にも優れた防水層を形成します。使用範囲も床や木造ベランダなど、幅広く利用できます。さらに耐久性に優れ、補修が気軽にできる点も大きな魅力のひとつです。5~6年に1回、最上層の膜を塗りなおすだけで、15年は防水性を保持できますので、コスト的な面からも優れています。
水槽や地下での防水によく用いられますが、下地は原則として、現場打ちのコンクリートに限定されます。防水剤を混入したモルタルを施工する方法、ケイ酸質の防水剤を塗布してコンクリートの空隙を埋める工法、ポリマーエマルションをセメントの水和反応で凝固させる工法があります。
下地は、基本的に現場打ちコンクリートに限定されており、そのコンクリートの強度および表面状態などによって、防水施工の品質性能が決まってしまう、という重要な問題があります。特にコンクリート打設後の期間(4週間以上)は、凍害や養生不足などによる脆弱な部分がないこと、またコンクリートの厚さが所定の厚さであることなどが、最も重要な問題となります。
DIYとして行う場合、市販の防水セメントには、そのまま使うタイプと、普通のセメントに防水剤を入れて防水効果を得るものの2種類があります。効果時間が異なり、大量に使うなら、セメントは時間が経つと硬化するので、使う量を調節できる後者がおすすめです。