下地処理
防水改修工事を行う場合、当然ですが、躯体や既存防水層が劣化している状況の上に、新規防水を施工します。もし躯体や既存防水層と、新規防水層、この接着性に問題がある状態で改修工事を行ってしまうと、せっかく施工した新規防水層が不安定なものになってしまいます。さらに、保護コンクリートの目地処理や段差調整、露出防水層のフクレ処理等をしっかりと行わなければ、新規防水層の仕上りに直接影響を及ぼしてしまいます。そのような状態にならないような防水改修工事を行うためには、下地処理工事が重要なポイントとなります。
下地処理にはいくつかの種類があります。
・高圧洗浄・高圧水洗・・・比較的面積の大きいほとんどの部位に有効です。高圧洗浄機によって10Mpa~15Mpaの強い圧力で水を噴射させ、苔やホコリなどを洗い流します。最も効果的で短時間で終わる洗浄方法です。
・既存防水層撤去・・・新規防水層を形成するのに必要です。環境などへの配慮から、既存の防水層を残して新規防水層をつくる、かぶせ工法が主流となっていますが、下地の劣化具合や工法の種類によって、撤去の度合いが変わってきます。本来撤去しなければならない個所をそのままにして新規施工をすると、漏水を引き起こす可能性が高くなります。その際、撤去・非撤去の診断は、防水施工管理技術者等の有資格者が行うのが賢明です。
・ケレン・清掃・・・防水層を撤去した場合、ただ撤去するだけではなく、その後のケレンが肝心です。新規防水層をつくると、見えなくなる部分なので、適当に作業しがちですが、下地が出るまでスクレパー等でのケレンが必要です。端末まできちんと手を入れなければなりません。
・樹脂ノロ引き・・・下地が荒れている場合や、新旧防水層の相性によってはセメントと樹脂と水を混ぜ合わせた樹脂ノロ(ポリマーセメントペースト)を下地に塗布する必要があります。下地の状態によって、樹脂ノロに硅砂を混合した樹脂モルタル(ポリマーセメントモルタル)で下地調整をします。