湿式工法
湿式工法とは、モルタルやコンクリート、土壁、石膏、漆喰などで、水を使い、乾燥させたり化学変化を利用して硬化させたりして仕上げる工法のことです。左官工事やコンクリート工事やタイル工事などの、工事の工程のなかで水分を使って凝固作業を促し、その水分が抜けて乾燥して、はじめて工事が完了する工法のことをいいます。
簡単にいえば、水でこねた材料を塗り付けて施工する、従来からあるやり方のことです。
モルタル塗り、漆喰塗り、リシン、土壁塗り、聚楽壁、珪藻土、タイルの団子貼りや圧着貼りなどがあります。
デザイン性や経済性に優れますが、現場で水を使わずに石膏ボードや合板などで仕上げる乾式工法に比べ、乾燥させるための時間がかかり、気候によって工期が左右されるというデメリットがあります。
ボードやパネル類などを用い、組み立てのみによって行われる乾式工法と比較して、工程が多く養生(乾燥)に要する時間が長くかかるため、施工の工期は長くなる傾向があり、またコスト的にも高くなります。よって減少傾向にあります。しかし、表現の自由度は高く、表面はつなぎ目のない平滑な奇麗な仕上がりになります。使う材料により、様々な質感や雰囲気が楽しめるのが特長です。
下地材や仕上材で、水を用いて施工し、下塗り・中塗り・上塗りなどの工程が必要になります。
乾式工法は、マニュアル通りに施工すれば所定の品質は確保されるので、職人の技量の差はそれほど問題になりません。しかし湿式工法は、職人の技量の差が出来具合に直接反映するので、腕の良い職人の確保が不可欠です。
従来は湿式工法で施工されていたタイル貼りや石貼りも、最近では乾式工法で施工されることが増えてきました。
例としてモルタルの湿式工法を挙げると、工法としては単純ですが工期はかかります。モルタルが硬すぎると隙間ができるので、柔らかめのモルタルを使うからです。そのため1日に1~2段の施工が限度です。