脱気筒
脱気筒とは、屋上の防水層と下地(コンクリートなど)の間に発生した水蒸気を排気するための筒のことです。
屋上の下地コンクリートは、日常の雨水や屋内の湿気・水分を含んでおり、昼夜の温暖差や太陽の熱により水蒸気を発します。この水蒸気が防水層との間に発生すると、防水層が膨らみます。防水層が膨らむことで、層の耐久性が弱くなり劣化を促進してしまい、後の雨漏りなどの原因になってしまいます。そのような防水層の膨らみを防止するのが脱気筒です。
脱気筒を取り付ける個数は、施工方法や屋上の面積、脱気筒の製品仕様によっても異なりますが、約60~80㎡に1つの割合で設置する場合が多いです。マンションなどの大規模建造物の屋上では、一定に脱気筒を設置し、防水層の寿命を縮めないようにする必要があります。
屋上面積の少ないマンションでは、脱気筒が設置されていない場合も多く見受けられます。そのような場合、脱気筒を設置していないことで、防水層の劣化が目に余る状態となり、雨漏りの原因になっていることもあります。また、脱気筒が設置されている場合でも、経年と共に自然環境にさらされる屋上の防水層は劣化していきます。
基本的に大規模修繕工事では、屋上の防水工事の際に脱気筒を新設します。それは防水層の膨れの原因となる水蒸気を逃がすことで、屋上の防水効果が長持ちし、建物の耐久性保持にも役立つためです。
屋上は長期間においてメンテナンスをする機会が少ない場所でもあるため、修繕の機会に防水層の劣化を促進する要因を取り除くことが重要です。大規模修繕工事は、屋上のメンテナンスを行うよい機会なので、防水層の修繕と共に脱気筒の設置をするべきでしょう。