通気緩衝工法
例えば屋上の防水工事を、ウレタン防水の密着工法(通気緩衝シートを使用しないで直にウレタンをつける工法)で施工する場合、密着工法は充分乾燥させた下地へ施工するなら問題ないのですが、屋上のような厚い保護コンクリートで覆われた場所などでは、中まで完全に乾燥させるのが難しく、防水層で蓋をしてしまうと残った水分の蒸気等が逃げ場を失い、やがて防水層を持ち上げ下地から剥がしてしまいます。これを防水層の膨れ現象と呼びます。
この膨れを抑える工法として、内部から上がってきた蒸気等を通気緩衝シートの中へ逃がし、任意の場所(脱気筒など)まで送る工法を、通気緩衝工法といいます。水分が脱気筒を通って外部に排出されるため、防水層の膨れを防止します。
簡単にいえば、まず通気性能を有する通気緩衝シートを下地に張り付け、その上に塗膜防水材を塗布することで形成される防水工法のことです。降雨などの上からの水分をシャットアウトするとともに、膨れの原因となる下地に含まれた蒸気化した水分を外部に脱気させる工法です。
ここ20年ほどで普及してきた工法で、直接雨のかかる屋上やルーフバルコニーなど、また大面積での施工に適した工法といえます。
特長は、
・防水層が下地と部分密着しているため、優れた安定性と耐久性を発揮します。
・通気緩衝層が下地の水分を逃がすので、膨れを防止するとともに下地の挙動を緩衝し、下地クラックのゼロスパンテンションから防水層の破断を防ぎます。
・残留水分の多い改修防水に適しています。既設の押え層を撤去しなくても施工できます。