防水工事の工法の選び方のポイントを教えて下さい【防水工事セレクトナビ】

防水工事の工法や種類には様々なものがあります。技術の進歩とともに様々な工法が開発されています。硬い防水層、柔らかい防水層、シート状の防水層、液体を固まらせる防水層など、それぞれに特徴があります。

単純に考えるなら、「硬い防水のほうが頑丈で良いのでは？」と思うかもしれませんが、日本は地震が多いため、防水層を施工する躯体が動いてしまうと、硬い防水は割れてしまう可能性があります。逆に柔らかい防水層は、耐久性の面で不安が出てきます。

また、日本には梅雨の時期があり、台風も多く上陸します。南北に長い立地条件なので、土地ごとに気温も降雨状況も全く異なります。また、季節によって寒暖の変化が大きく、地震も多く、自然による影響が大きい土地状況なので、世界的に見ても防水にとっては厳しい環境なのです。

防水層に使われる材料にはそれぞれ一長一短があり、こうした厳しい環境の全てに完全に有効な防水工法というのは、ありません。そのため、いろいろな材料や工法がいわば乱立しているというのが、現在の日本の防水工事事情です。

よって、防水層を施工する建築物とその使い方、また地域や環境などに合わせて最も有効だと思われる工法を、建築士などの構造や材料についての専門知識のある者が適切に選び、それを元に熟練した技能を持つ職人や技能士などの有資格者が、実際にしっかりとした工事をすることが重要になります。

上に述べたように、防水工事の工法にはいろいろな種類がありますが、一般的な目安を例に示します。

改質アスファルト防水は、昔からある工法なので信頼性も高く、工期と工程、初期コストはややかかるものの、耐久性と寿命の面で優れ、１２～２０年程度は寿命が持ちます。またその間のメンテナンスも必要ありません。大きな建築物の広い屋上にお勧めの工法だといえます。ただ重量があるので、小さな建築物や木造建築には向いていません。

ウレタン防水は、比較的融通のきく工法であり、初期コストも普通ですが寿命はそれほど長くなく１０～１２年程度です。職人の技量で工期の長さと出来不出来が左右される傾向がありますが、大きな建築物でも小さな戸建でも、どんな箇所にでも施工しやすい工法だといえます。

FRP防水は、最近になって広まってきた新しい工法の一つですが、初期コストも普通で寿命もウレタン防水よりやや長いです。軽くて丈夫なので、大きな建築物の屋上や一般戸建の屋上以外にも、ベランダにもお勧めの工法だといえます。

ゴムや塩化ビニルなどのシート防水は、比較的新しい工法ですが、軽量で工期も短く済み、初期コストもそれほどかからず、寿命も１２～１５年程度と長めなので、屋上にお勧めの工法だといえます。

いずれの工法についてもあくまで目安なので、実際に工事を施工する際に、専門業者によく相談し、最適な工法を選ぶようにしましょう。