外壁のひび割れどうに対応すればよいですか？【防水工事セレクトナビ】

外壁や外壁塗装にひび割れが生じることがありますが、その多くは湿式工法（コンクリートやモルタルなどの水を混ぜた柔らかい材料を塗りつける工法）の外壁材で起こります。ひび割れは主に４種類に分類でき、塗膜に発生するものにヘアクラック、外壁材に発生したひび割れが塗膜のクラックとして現れたものに乾燥クラック、構造クラック、縁切れによるクラックがあります。

■ヘアクラックとは、髪の毛（hair）のように短かく細かいひび割れのことです。主な原因と対応策は、

・塗膜が経年により劣化し、下地の膨張伸縮に耐えられなくなって、次第にひび割れが生じることがあります。

→塗膜に触れると手が白く汚れる（＝チョーキング現象）ような塗膜劣化の症状が見られるようになったら、早めに塗り替え作業を行います。

・複層仕上げ塗材を吹き付けで塗膜する場合、工期短縮のために、主剤の十分な乾燥を待たずに上塗り材を吹きつけてしまうと、上塗り材が固まった後に下層の主剤が硬化し伸縮するため、上塗り材にひび割れが生じることがあります。

→劣化の程度が低ければ早めに上塗り材を塗り直します。もし主剤まで劣化が及んでいたら、付着力も低下するので、全面剥離と主剤からの全面的な塗り直しが必要になります。

・業者の塗料の選定ミスにより、柔らかいタイプの弾性素地や弾性塗膜の上に、硬いタイプの硬質塗膜を塗りつけてしまうケースがあります。下地が柔らかいため歪みや動きを生じ、それに上層の硬質塗膜がついて行けずにクラックが生じることがあります。

→場合によっては、全面剥離と全面的な塗り直しが必要になります。

■乾燥クラックとは、湿式工法による外壁材が、その乾燥の過程で、含有する水分の蒸発などにより収縮し（＝「やせ」が生じる）、ひび割れが起こることです。ひび割れの幅が狭いのが特徴です。

・コンクリートやモルタルが完全に乾燥して伸縮する前に、その表面に塗料を塗りつけて塗膜を形成してしまうと、下地の伸縮に追随できなくなった塗膜にひび割れが生じることがあります。

→コンクリートやモルタルが完全に乾燥してしまえば伸縮は止まるので、それ以上ひび割れが拡大することはありません。よって塗膜の下処理が重要になります。それには、「微弾性フィラーを下塗りして、上塗りに弾性仕上げ材を使う」、「シーリング材をクラックに擦り込んだ後、微弾性フィラーを下塗りする」、「エポキシ系充填剤をクラックに擦り込んだ後、微弾性フィラーを下塗りし、さらに弾性仕上げ材を塗る」、という方法があります。３番目の方法が最も望ましいです。

■構造クラックとは、建築物に構造的な欠陥があったり、天候で凍結と溶解を繰り返したり、地震や地盤の沈下があったりして、その結果発生するひび割れのことです。

・建物の構造補強をしない限り外壁材が歪む力がずっと働き続けるので、ひび割れ部に力が逃げようとして引っ張る力（ムーブメント）が働きます。それがクラックをさらに拡大することになります。

→ダイヤモンドカッターを使用しクラックに目地を作り、外壁材を削り落とします。その目地に対してシーリング処理を行います。

■縁切れによるクラックとは、湿式材料の塗り継ぎ部にひび割れが生じることです。

・コンクリートやモルタルを塗りつける際に、途中で作業を中止して一度に塗りつけなかったり、部分的にやり直したりして、新旧の塗り継ぎ部（縁）ができてしまうと、そこにひび割れが生じることがあります。

→基本的には構造クラックと同様に処理します。