大規模修繕工事を実施する際の気をつけるべきポイントを教えて下さい。【防水工事セレクトナビ】

マンションの大規模修繕工事は、足場を設置して大々的に行われます。当然そこには多くの住人が住んでいるので、それを考慮して行わねばなりません。では具体的にどのようなことに気をつけねばならないか、以下に挙げてみます。

■防犯対策をする
各戸の窓や扉、ベランダ部分のサッシを開けっ放しで行う必要がある場合もあるので、一階周りにはフェンスを施しそこに施錠をして、外部から容易に侵入できないようにします。また、防犯上の死角になる場所には、人感センサーを設置する場合もあります。
■危険な作業がある場合、住人を近づけず、事前に住人に告知する
足場は金属でできており重量もあるので、足場の設置や解体をする場合は、適宜立ち入り禁止区域を設けて住人が近づかないようにします。また必要な場合は警備員を配置します。また、落下物の危険性がある出入り口などには、庇（朝顔養生、水平養生）を設ける必要があります。万が一怪我人が出た場合、施工業者の責任問題になりますので、これらの危険性は、事前に住人に必ず告知しておかなければなりません。
■臭い、騒音、ホコリなどの対策をする
足場の設置や解体の際に、金属同士がぶつかる音がします。また下地補修工事や外壁の浮き確認作業の際に、コンクリート面を叩いたり削ったりする音が発生します。防水塗装工事や外壁塗装工事の際に、塗料やアスファルトの臭いが発生することがあります。また足場の設置や解体の際に、ホコリが発生することがあります。よってこれらを極力抑え、可能な限り生じないような対策を施す必要があります。当然、材料に人体に有害な物質は極力使用しないようにし、臭気や騒音などが予想される場合には、事前に住人に告知と説明をしておかなければなりません。
■住人に、ものの移動や撤去を協力してもらう
塗装やシーリング工事の際に、サッシや網戸の一時的な取り外しが必要になる場合があります。その際は各自宅で保管してもらい、場合によっては取り外しを手伝ってあげる必要があります。また駐輪場や機械式駐車場の塗装工事を行う際に、自転車や自動車の一時的な移動が必要になる場合があります。そのための移動場所の確保は、事前にマンションの管理組合と話し合って決めなければなりませんし、そのための費用に関しても決めておく必要があります。それにベランダやバルコニーに置いてある、植木鉢やプランターや人工芝などは、各自宅で保管してもらうか、管理組合が指定した場所へ移動してもらいます。場合によってはそれを手伝ってあげる必要があります。衛星放送のアンテナも同様です。エアコン室外機は大きく重いので、手伝ってあげる必要性は高いでしょう。
■作業員が各戸に入る必要がある場合に了承を取る
床の防水工事、壁面の補修工事、天井や手すりの塗装工事、インターフォン交換工事、高圧洗浄作業などでは、ベランダやバルコニー、部屋内部に作業員が入る必要が生じる場合があります。その場合、居住者の了承を事前に必ず取っておく必要があります。また説明会で入念に説明しておく必要があります。
■各戸の入り口扉を開け放す場合は、住人に在宅してもらう
塗装やシート貼りの中には、玄関ドアを開け放してもらう必要のあるものもあります。その場合は居住者に在宅してもらう必要があります。またインターフォン交換工事やエアコン室外機の脱着作業時などにも、在宅してもらう必要があります。
■洗濯物が干せるかどうかを、住人に告知する
ベランダやバルコニーに関わる工事の作業中は洗濯物が干せません。また足場を組んでマンション全体を薄い保護シートで覆った場合、工事終了まで洗濯物の乾きが悪くなります。よってこれを事前に充分に告知し、また今日はどの部屋からどの部屋までの範囲なら干せるかということを、毎日掲示板などで告知する必要があります。
■ベランダの使用不可期間がある場合、告知しておく
下地補修工事、外壁塗装工事、ベランダやバルコニーの防水工事の期間は、ベランダに出られない場合があります。特にベランダやバルコニーの防水工事は、全体工期の３分の２程度を占めるので、洗濯物の制限とともに、事前に充分に告知しておく必要があります。
■作業日と作業時間を告知しておく
普通は日祝日は作業は休みになり、作業時間も朝の何時から夕方の何時までと決まっています。これも告知しておく必要があります。また天候などの影響で工事が遅延した場合は、管理組合への説明と了解を得る必要があります。
■問い合わせの窓口を設置しておく
工事中の問い合わせを受ける担当者を決めておかなければなりません。その手段も事務所や携帯への電話やポストへの投函など、複数用意したほうがよいでしょう。緊急連絡先として、２４時間対応可能な電話番号を設置するのが望ましいです。
■エアコンの使用制限があることを告知する
室外機を移動しない限り、工事中でもエアコンは使えますが、ベランダの防水工事期間は使えなくなります。気候的に厳しい土地の場合、これは事前に充分に告知しておきましょう。